老朽化した車庫・ガレージ・大型倉庫の解体費用と解体方法【解体業者が解説】
2022/12/13更新
<解体業者が教える3つのポイント>
・車庫・倉庫の解体費用と解体の流れを解説
・解体業者が施工のどこにこだわっているかがわかる
・実際の解体作業を画像付きで解説
目次
3 車庫・ガレージ・大型倉庫はどこに解体を依頼すればいいの?
都心部では少ないのですが、少し郊外になると広い敷地内にご自宅、離れの車庫、ガレージや大型倉庫に軽トラックや農業用のトラクターを入れるようなお家も多いのではないでしょうか。
以前は、祖父や親戚が農業をされていて使ってはいたけど、今は農業も止めていて老朽化した車庫や倉庫がそのままになっている。
地震が来ると倒壊してしまうのではないか、と不安になられることもあるのではないでしょうか。
当然、老朽化した建物はメンテナンスされなければ、構造が傾いてしまったり、危険な状態になるため解体して撤去されることをおすすめします。
その際に、車庫や倉庫の構造によって耐用年数も違えば、解体費用も変わってきますので、このブログでは車庫・倉庫の種類と解体費用の相場、実際の解体方法の流れを解説していきたいと思います。
車庫・ガレージ・大型倉庫の種類と解体費用
車庫と言うと、平成以降では、柱と屋根だけの簡易的なアルミ製のカーポートが多くなってきました。
しかし、現在解体されることが多いのは昭和の時代に建築された車庫やガレージ、倉庫で、構造はRC造と、鉄骨造、木造が中心になっています。
カーポートの解体・撤去の流れ
カーポートの撤去の流れを知りたい方は、こちらをご参考ください。
倉庫・工場など事業用重量シャッターの撤去事例
倉庫・工場の電動シャッター部分の撤去の事例については、こちらをご参考ください。
このブログでは、RC造、鉄骨造、木造の3つの構造について解説していきたいと思います。
RC造
解体費用の相場 坪5~8万円
RC造とは、鉄筋で補強されたコンクリート造りのことで、最も強度が高く耐用年数も比較的長いため、マンションの建設でも使われる構造になります。
こちらを解体するとなると、解体費用も高額になりやすいです。
RC造となると、基本的には少し大きいサイズの重機とアタッチメントを使って解体していく必要があります。
大量のコンクリートガラを搬出することになるので、産廃搬出の大きめのダンプを敷地内に駐車できるかどうかで金額が大きく変わります。
解体業者に依頼する際には、、、
普段からRC造の解体をおこなっていて、少し規模が大きく、重機や専用のアタッチメント、ダンプを自社保有する解体業者に発注した方がコストが安くなる場合が多いです。
鉄骨造
解体費用の相場 坪3~4万円
昭和時代の車庫や倉庫の鉄骨造は、柱と梁の構造が鉄骨で組まれていて、他は綱製材や木造である場合が多いです。
簡素な造りである場合は、住宅の鉄骨造と比較すると内装材などが少なく、周りも十分スペースが取れて解体作業がスムーズにできる場合が多いので、解体費用は抑えることができる場合が多いです。
鉄骨の撤去は、現場状況と構造の状態によって、どの専用のアタッチメントを使用するか現場の判断が入ります。
解体業者に依頼する際には、、、
普段から鉄骨造の解体をおこなっていて、少し規模が大きく、重機や専用のアタッチメント、ダンプを自社保有する解体業者に発注した方がコストが安くなる場合が多いです。
木造
解体費用の相場 2~3万円
木造に関しては、通常の住宅の解体とそこまで手順も変わりませんし、何より内装が少なく、バス・トイレもないのでスムーズに解体できればだいぶ金額は低く抑えることができます。
解体業者に依頼する際には、、、
普段から木造の解体だけをおこなっていて、規模が数名でも、木造専用の重機やアタッチメントで対応できる解体業者に発注した方がコストが安くなる場合が多いです。
それでは、続いて、実際に弊社にお問合せいただいて、車庫・倉庫の解体をした事例をご紹介していきたいと思います。解体業者がどのような目線で解体しているのかがわかります。
車庫・ガレージ・大型倉庫の解体工事の流れ
今回は、当社近くの所沢市にお住いのお客様からのご依頼でした。
今回のお客様がご実家に戻られた際、所有されている年代物のミニユンボを久しぶりに動かされたら、油圧ホースがパンクしてしまったそうで、インターネットで調べて、近くにあった当社にホース修理を依頼しにご来店頂きました。
ホース修理の件では、建機レンタル部の方でご対応させて頂いたのですが、当社が解体工事を行っていることをお知りになり、お話を頂いたのがきっかけでした。
現在、車庫と物置として、使用している建物を建替える計画のご相談でした。
【概 要】1F車庫 約64m2/2F倉庫 約42m2/平屋事務所 約19m2
【既存の建物】メインの柱や梁が鉄骨(H鋼)・その他構造部分はC型の鋼製材
【内装・造作】ほぼ木造
【外壁・屋根】波板(波型)スレート
でした。
1F車庫の脇に6坪ほどの木造平屋が増築してあり、書き物仕事などをする事務所のように使用されていて、こちらも解体の対象となります。
電気等のライフラインに関しては、それぞれ切り離しを行えば、母屋に影響が及ぶことは無さそうでしたので、特に切り替え工事等を行わずに済みました。
車庫の下に給水管や汚水管が入っている様子もなく、作業に支障がでる心配はありませんでした。
車庫・物置といえど、電気・ガス・上下水道は必ず事前に確認します。
そして、今回の解体工事のポイント。
「躯体の鋼材は切断すると、倒壊してしまうような危険なケースもある」
です。
それは我々、解体業者が重機を使用した躯体の鋼材の解体を行う場合、、、
施工の早さを重視して鉄骨を切断するのか(ペンチャーというアタッチメントを使用)
安全を重視して鉄骨の溶接を外していくのか(フォークというアタッチメントを使用)
という選択に迫られます。
「ちょっとぐらい危険かもしれないけれど、納期も迫っているし、見積りも競合と競ってずいぶん安くなっちゃったしな。早く解体してしまえば何とか利益も残るし、ええい、切断してまえ!」とするのか。
「いやいや、溶接部分も甘いし、基礎もちょっと不安だよな。もし、ペンチャーでパチパチ切った時に支えきれずにこの大きさの躯体が倒壊なんてしたら、隣の建物がどうなってしまうのだろう。もし、解体材が歩行者に飛んでいってしまったらどうなるのだろう。」
安く早く、工事を済ましてしまうのか。
それとも、もしものことを考えて安全を優先に工事を進めるのか。
現地調査・見積り段階からどこまでリスクを考えているのかどうか、解体業者がどのような決断をするのかで、解体業者の安全への姿勢が試されるのです。
さあ、さっそく作業工程を見ていきましょう。
不用品の運び出しと養生
まずは、不用品を片付けて運び出しました。その後、追加でご依頼頂いた伐採を行い、養生を組立てやすいようにしました。
建物外周養生は、いつものように単管パイプと防炎シートで組み上げました。
外壁材と屋根材の撤去(アスベスト)
波板スレートを先行撤去する作業スペースが十分にありましたので、立ち馬や脚立を使い 足場を確保して、外壁材と屋根材を先に撤去しました。
工場や倉庫などでよく見かける、こちらの波板スレートですが、、、
年代が古いものはほぼアスベスト(石綿)が含まれています。
アスベスト(石綿)は、通常の産廃で捨てることができないので、必ずアスベストの廃棄処分処理を適正に行う必要がございます。
この辺りも、見積り時に金額がプラスされてしまう要因になっていますので、ご注意ください。もし、波板スレートにアスベスト処理処分が見積りに計上されていなかったら、不法投棄されている可能性が考えられます。
内装材の撤去
屋根材と外壁材の石綿含有建材を撤去した後は、内装材の撤去を手作業で行ないました。
木くずと廃プラスティックやガラス類を分別解体し、鉄骨の骨組みだけの状態にしました。
内装材の撤去は、特に問題もなく終えることができました。
鋼材骨組みの重機解体(今回のポイント)
骨組みだけになった段階で、重機を搬入しました。
実は、、、当初は5トン~8トンクラスの重機で、アタッチメントはぺンチャーを考えていました。
しかし、ここで問題が。
「思ったよりも鉄骨と下地鋼材の結合部分及び基礎部分が弱そうだったのです。」
ですので急遽、3トンクラスの重機に、回転フォークを取り付けて作業する方法に変更しました。
ぺンチャーを使用して鉄骨や鋼材をパチパチと切断できれば、解体はスムーズに進めることができます(上部画像がペンチャー)。
ただ、どうしても、建物全体に歪みの力が働いてしまうため、、、
鋼材の結合部分が弱かったり基礎の造りがしっかりしていないと、切断しようとしている場所以外の鋼材が外れたりしてしまったり、場合によっては建物全体の倒壊につながってしまいます。
かといってフォークそのものでは鉄骨や鋼材を切断することはできません。
方法としては、鋼材を溶接してある両端のうち片方を掴んで、重機の力で上下左右に揺すり、溶接部分を切り離します。
片側の溶接が取れたら、鋼材をしっかりと掴み直します(ここが安全第一にする秘訣)。
そして今度は鋼材そのものを同じく上下左右に大きく揺らします。そうすることで、もう片方の残った溶接部分を切り離すことが出来ます。
今回使用した回転フォークはアタッチメントのフォーク部分そのものが回転してくれます。上手く掴んでおけばフォークの回転の力で鋼材の溶接を切り離すことが出来ます。
H鋼はさすがに上記の方法では無理なので、ジョイントしてある部分のボルトナットを取り外すか酸素などで切断するしかありません。
今回はナットが上手く回ってくれましたので、回転フォークでしっかりとH鋼を掴んでおいてナットを取り外す方法をとりました。
基礎解体
基礎解体は、鉄骨柱の根巻きと一部土間コンクリートの撤去だけした。
お客様のご親類の方の話では、、、
「昔は接している道路がもっと低かったため、こちらの地盤面の高さも道路に合わせて低かったよ」
とのことです。道路が改修されて敷地の高さよりも高くなったため、車庫を含めて道路に接している部分に土を入れて敷地を高くされたとのことでした。
解体業者は、この所有者様の当時の状態の聞き取りがすごく大事なのです。
ここで、我々解体業者が想定するのは、、、
土間コンクリートが地中に打たれていたら、大きな追加費用が発生してしまう
ということです。
お客様とは、地中に土間コンクリートが出てきたらどうしようかと話しをしていましたが、幸いにも試掘をしても、鉄骨の根巻きコンクリートだけで土間コンクリートは出てきませんでした。
追加作業・費用なしで更地にできて良かったです。
整地
お客様の敷地内でしたので、今回は特に区画はせずに整地して完了です。
次は、単管パイプの物置の解体をご依頼頂く予定です。また宜しくお願い致します!
車庫・ガレージ・大型倉庫の解体はどこに頼めばいいの?
前述の通り、まずは構造によって、得意とする解体業者は変わります。
ですので、RC造や鉄骨造の場合は、比較的規模の大きく、専用の重機やアタッチメントを自社保有する会社に依頼すると、建機のレンタル分の費用がかからないので安くなる場合が多いです。
一方で、木造の場合は、木造住宅を専門にやっている小規模な解体業者に依頼すると、費用が安くなる傾向にあります。
ですが、とにかく見積り金額を安く安く、競い合わせるのが解体業界では当たり前になってしまいました。
安い見積りは必ず施工に無理が起こり得ます。見積り価格が安いとそれだけ早く、例え荒い工事になっても、短い工期で終わらせなければなりません。
工事するのは、解体業者だから顧客である私たちは関係ないでしょ?と思われるかもしれません。
躯体が倒壊して近隣の住宅の壁を損傷してしまった
騒音や粉塵から近隣トラブルに巻き込まれてしまった
近隣とトラブルになって、困ってしまうのは工事をした解体業者だけではなく、工事を終えてその土地で長い間住み続けるのはお客様ご自身なのです。
こういった安全への意識をどこまで解体業者が持っているのか。ぜひ、お問い合わせの段階で、信頼できる解体業者を一社探して欲しいと思っております。
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