
解体で発生するアスベストについて
目次
アスベストとは
アスベストと聞いて、知らない人はいないでしょう。
それくらいここ十数年で何度もニュースや新聞で目にしてきたかと思います。
アスベストとは、石綿(いしわた)と呼ばれるもので、高度経済成長期には、安くて、防音性、断熱性、耐火性に優れていて、軽くて、そして丈夫という、まさに「夢の建材」だったため、いろんな建物に使われてきました。
さらに、ビルや店舗、工場、学校など人が多い施設に利用されてきたため、その危険性が注目されているのです。そして、量は少ないながらも、住宅にも様々な建材に使用されてきました。
そんなアスベストなのですが、、、
お客様が戸建住宅の解体をする場合、一体どんな影響があるのでしょうか?
そのあたり、今回はご理解してもらおうかと思います。
アスベストがなぜ問題視されるのか
アスベストによる健康被害
アスベストの近くで、ただ生活するだけでしたら、そこまで問題は無いのですが、、、
アスベストは細かな繊維となって飛散するのですが、それがほこりよりも小さな繊維で空気中に飛散するため、建物の解体の際に、解体用のカッターでアスベストを切断したり、ハンマーなどで叩いたりすると、それが近隣の住宅まで飛散してしまうと、目には見えない繊維が人体の肺に入ってしまい、それが肺の中で長期にわたって溜まっていってしまうのです。
実際に、人体にどのような影響があるのかというと、中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚などが挙げられます。
アスベストばく露から、肺がんであれば発症までに15~40年の潜伏期間があると言われ、高齢になってから被害に苦しむことが多いため、注意が必要になります。
アスベストのレベル
レベル1
【発じん性】
著しく高い
【作業の種類】
石綿含有吹き付け材の除去作業
レベル2
【発じん性】
高い
【作業の種類】
石綿を含有する保温材、断熱材、耐火被覆材等の除去作業
レベル3
【発じん性】
比較的低い
【作業の種類】
スレート、サイディング、タイルなどレベル1、レベル2以外の石綿含有建材の除去作業
どんな建物に使われているのか
まず、昭和以前の一般的な戸建でどこにもアスベストが入っていないということはむしろ少ないのかもしれません。
それは石綿含有(がんゆう)された建材があまりに多いからです。
例えば、屋根のスレート、外壁のサイディング、内装のせっこうボード、台所などのビニル床タイルや床シートなど、本当に多岐にわたっています。
これらは、基本的にレベル3言われる、比較的軽度なアスベストになるため、産廃費用も10~20万円程で済むことが多いのです。
が、、、
本当にまずいのが鉄骨造。。。
鉄骨造のアスベスト
三階建ての鉄骨造には気をつけてください!
三階建て以上の場合なのですが、耐火のために、鉄骨にアスベストの吹き付けがされているケースがあります。
それは、鉄骨は意外と熱に弱いため、3階建て以上の場合、建築基準法で耐火建築物にすることが定められており、熱に弱い鉄骨を守るために、アスベストを吹き付けする(被覆する)必要があったのです(現在はアスベストではなく、ロックウールという素材が使われています)。
この場合、レベル1〜2となるので、大掛かりな作業が必要になってきます。
金額にして約100~200万円(それ以上の金額となるケースも)は、解体費用に上乗せされると見込んでおいてください。
正確なアスベスト量を知りたい方は設計図書をご確認ください
アスベスト処理費用を事前にできる限り正確に知りたい場合は、もし設計図書があれば設計図書を参考になさってください。
解体工事が始まる前に、事前に知りたい場合は、建物図面だけでは記載が無いので、設計図書があるかどうか確認して下さい。
建物図面と呼ばれる、敷地にどんな建物が建てられているかがわかるものは法務局で入手ができるのですが、具体的にどんな構造で、どんな建材が使用されているかまでわかるものは設計図書と呼ばれるものが必要になります。
しかし、この設計図書は、保存する義務も無かったので、そもそも建築主から所有者に引き継がれていなかったりすることもあり、一般の戸建住宅では入手は難しいケースが多いのも事実です。
ですので、解体工事前に詳しく知りたい方は、専門の業者にアスベスト調査の依頼をなさってください。解体工事業者がアスベスト調査の専門業者を紹介することも可能な場合もございます。
アスベスト使用量の変遷
アスベストの法改正
アスベストに関する法律はこれまで過去5回変わっているのですが、抑えるポイントは、1995年(平成7年)の改正と、2004年(平成16年)の改正の二つです。
基本的には1995年までは、アスベストはガンガン使われていたと思ってください。
1975年(昭和50年)に最初の改正が行われたのですが、アスベスト含有率が5%を超える吹付け作業の原則禁止が決定されました。
これによって、含有率が70%など非常に多くのアスベストが使用されていた鉄骨造などの吹き付けはこれ以降なくなりました。
しかし、これ以降、一時的に総量は減ったり、増えたりを繰り返しました。
使用総量が減っていかなかったのは、吹き付けはなくなっていったのですが、含有建材に関しては認められていたため、それ以降も相変わらず、住宅のスレートやサイディングに使われ続けていました。
1995年(平成7年)の改正によって、クロシドライト(青石綿)とアモサイト(茶石綿)の製造、輸入、使用などを禁止されたことで、すでにある他種類のアスベストの在庫を残して新しく製造、輸入、使用されることはなくなり、2004年に石綿の使用を禁止されるまで、なだらかに減少していきました。
2028年にアスベストが含まれた建築物の解体のピークを迎える
このアスベストが含まれた建築物の解体が2018年(平成30年)の約6万棟から2028年(令和10年)の10万棟に増加し、ピークを迎える見込みとなっています。
このため、一般住宅においてもアスベスト工事の届け出義務を、厚生労働省では現在検討されているのです。
範囲は戸建て住宅の解体だけではなく、部分的なリフォームも対象となるため、2018年の約13,000件の届け出件数が、200万件を超える届け出が発生する見込みとなっています。
これから一般住宅でも当たり前となるアスベスト調査。
そんなアスベスト調査とは、どんなものなのでしょうか。
アスベスト調査の手続きと流れ
アスベスト調査の手続き
一般的に、解体業者は日々解体でアスベストが発生するため、アスベストに関して詳しいはずですので、まずは依頼した解体業者にアスベストの有無を確認してみてください。
これからは一般的な戸建住宅でも、解体や部分リフォームに関して、アスベストの事前調査は必須となる予定でので、事前調査があるのかどうか必ず確認してください。
解体業者でアスベストの有無を確認してもらったら、解体を発注する解体業者に調査をお願いするか、または民間のアスベスト調査会社に調査を依頼してみてください。
アスベスト調査の流れ
事前調査
現地にて、建築材料や吹き付けで使用されているアスベストを目視で確認します。
試料採取
アスベストが使用されている箇所を実際に採取します。
分析
JISで指定されているアスベスト6種類に対応して、アスベストの有無の判定をします。
調査報告書作成
アスベスト分析の報告書は通常、一週間前後で作成されることが多いです。
解体工事開始
調査報告書に基づいて、適切に産廃処理されるように解体工事が開始されます。
まとめ
2020年度より、法改正によってアスベスト工事が規制強化される可能性が高いです。
これからは、戸建の解体やリフォームなどを検討される一般の方にも大きく影響が考えられるアスベスト問題。
ご自宅を解体される前に、事前にアスベストのことをしっかり知っておいてくださいね。
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