事務所内装の原状回復・スケルトンの解体の流れと実際の施工事例【マンション1Fテナント事務所】
2025/06/30更新
<解体業者が教える3つのポイント>
・事務所の内装解体費用と解体の流れを解説
・解体業者が施工のどこにこだわっているかがわかる
・実際の解体作業を画像付きで解説
目次
1.1 賃貸借契約書の確認(スケルトンなのか原状回復なのか)
2 内装解体の発注する業者を選ぶのに知っておいた方がいいこと
3 内装解体中に発生する可能性として知っておいた方がいいこと
6.2 オーナー様・借主様・不動産会社様の撤去範囲の認識不一致
事前に準備・確認しておいた方がいいこと
こんにちは!
もし、店舗やテナントの内装解体をすることになった場合、ほとんどの方が初めてのことなので、何を準備して、何に気をつければいいかわからないかと思います。
そんな気をつけるべきポイントを内装解体業者の目線から解説していきたいと思います!
賃貸借契約書の確認(スケルトンなのか原状回復なのか)
内装解体の場合、原状回復義務の範囲を明確にしておくことが非常に重要です。
どこまで解体が必要か、どこは残すべきか、賃貸借契約書や特約事項を細かく確認する、またはオーナーさんや管理会社と話し合って確認してみましょう。
スケルトン解体
「スケルトン」という躯体のみの状態に戻すことを言います。要は、内装は何も残っていないまっさらな状態にすることです。
解体業者目線ですと、お客様からのお問い合わせで、よく「スケルトン解体をお願いします」とご連絡をいただきます。
しかし、よくよく打ち合わせしてみると、実は残す箇所があったり、壊してほしくない箇所があったりすることはとても多いので、施工範囲の認識を合わせることは大事です。
居抜き状態での引き渡し
契約書に、次のテナントがそのまま使える「居抜き」の状態での引き渡しが可能かどうか、またはオーナーさんとの話し合いの中で確認してみてください。
この場合は、部分的な解体で済むケースや、什器の一部撤去で済むので、解体費用がとても抑えられる、またはそもそも内装解体業者に発注する必要がないケースも多いです。
特定の設備の残置
オーナーさんや管理会社の意向で、特定の設備(エアコン、排気ダクトの一部など)を残す必要があるのか確認してください。
テナントの返却では、借主側はスケルトンで返すという認識で、一方で、オーナーは次に入居するテナントのために、エアコンは残して欲しい、ここの棚は残してほしいなどあって、認識の不一致が起きやすいので、注意が必要です。
契約不適合
もし賃貸契約書の内容と異なる状態で引き渡してしまうと、オーナーさんから損害賠償や原状回復を請求される可能性がありますので、事前に契約書の内容をよく確認してください。
図面や設計図の有無
実際に、内装解体お見積もりを依頼する業者さんに、図面や設計図のコピーを渡せると、スムーズに進みます。
構造、設備(電気、ガス、水道、空調、換気など)、配管の位置を把握し、どこまで解体して良いか、残すべきものがあるかを確認します。特に、共有部分や躯体に関わる部分は慎重に判断が必要です。
A工事・B工事・C工事の区分
A工事
建物のオーナーさんが発注・費用負担する内装解体工事のことを言います。
B工事
テナントが希望し、オーナーが発注する工事で、費用はテナントが負担する工事のことを言います。
エアコンや防災設備など、ビル全体の設備に関わる部分が多いです。オーナーさん指定の内装業者になることもあり、テナントさんご自身で工事業者を探したり、相見積もりができないことが多いです。
C工事
テナントが発注・費用負担する工事のことです。
主に、内装の撤去などがこれに該当し、発注者が自由に業者を選べるのが一般的です。
ご自身が発注する内装の解体がどの工事区分に該当するかを契約書で確認し、オーナーや管理会社と認識をすり合わせましょう。
内装解体の発注する業者を選ぶのに知っておいた方がいいこと
内装の解体業者と言えど、マンションのリノベーションだけをやっている業者、飲食店をメインにやっている業者、事務所の原状回復をやっている業者など、得意・不得意が分かれることがあります。
例えば、飲食店の内装解体は、一般的内装の解体とは異なる専門知識が必要で、特に厨房設備の撤去や給排水・ガス配管の処理には専門性が求められます。また、繁華街での解体作業と搬出作業になることが多いので、周辺への細やかな気遣いができるかは大事になります。
できるだけ、実績が豊富で、ご自身が希望される業種の解体経験がある業者を選びましょう。
複数の業者からの相見積もり(立会い必須)
複数の業者から見積もりを取り、費用だけでなく、作業内容、工期、安全対策、産業廃棄物の処理方法なども比較検討しましょう。
必ず解体業者に現地調査に来てもらい、解体範囲、残置物、設備の状況などを一緒に確認しましょう。できれば、オーナーや管理会社も交えて三者で確認し、工事をする際には契約書など書面に残すとトラブルを避けられます。
見積り費用が安すぎる業者には注意すること
最近では、外国人の業者さんも増えてきていて、びっくりするような安い見積もり価格を提示する業者さんも中には出てきました。
その場合は、見積もりの内容を細かく聞いて、適切な産廃処理をするのか、適切な施工計画に基づいているのか確認してください。
あまりに見積りが安い場合は、短期での工事で、かなり荒い施工となってしまって、騒音、粉塵、水漏れなどで予期せぬ近隣トラブルに巻き込まれる可能性が高くなってしまいます。
また、見積もり担当は日本人でも、工事担当は全員外国人だと現場でトラブルが発生した際に、日本語でのコミュニケーションができないケースもありますので、ご注意ください。
許可と保険の確認
建設業許可(解体工事業)
解体工事を行うために必要な許可になります。依頼する業者が許可を持っているか確認してください。
産業廃棄物収集運搬業許可
解体で発生した産業廃棄物を適切に処理するために必要です。
これらの許認可がない業者は、不法投棄などのトラブルに繋がる可能性があるので避けるべきです。また、万が一、工事中に事故が発生した場合に備え、損害賠償保険に加入しているか確認しましょう。
内装解体中に発生する可能性で知っておいた方がいいこと
施工範囲の不一致から来る不必要な部分の解体
前述の通り、内装解体では、施工範囲の不一致から来るトラブルが最も多くなります。事前に、テナントさん、オーナーさん、解体業者の中で施工範囲を一致させてから工事を始めましょう。
近隣からのクレームの発生の可能性
解体工事は騒音や振動、粉塵を伴います。
事前に近隣住民へ工事期間、作業時間、内容について説明し、理解を得ておくことがトラブル防止に繋がります。挨拶文の作成や配布など、解体業者が実施するのか、ご確認ください。
クレームが発生することで工期が伸びる可能性
クレームが発生してしまうと、作業時間が限られてしまったり、作業できる工具が限定されてしまい、工期に遅れが発生することが考えられます。
期間には余裕を持って、工事の発注をするように、心がけてください。
それでは、内装解体で知っておきたい一般的な知識をここまでにして、ここからは実際に、リプロで解体を行なった事例で紹介していきたいと思います!
事務所の解体費用の相場
運営していた店舗を閉店・移転するにあたって、内装を撤去しなければならなくなってしまった・・。
でも、内装解体工事の費用ってどのくらいなのだろう?まずは、費用が気になりますよね?
ところが、、実際にこれまで2,500件の内装解体をおこなってきた弊社に言わせると、、
内装解体工事の費用の相場はあってないようなものなのです。
というのも、撤去範囲・作業内容・産廃の種類によって、金額が大きく変動してしまうからです。
<内装の解体費用の相場>
撤去範囲・作業内容・産廃の種類によって、金額は大きく変わるため、相場と呼べるものはないと考えた方がいい
例えば、RC造の建物でスケルトン解体と言われれば、天井・壁・床の躯体コンクリートを表すまで内装材を撤去します。
しかし、同じスケルトン解体であっても、内装の状況によって作業内容・産廃の種類が異なってきます。
事務所として使用されていたのか、飲食店を運営されていたのか、それともマッサージ店なのか?
事務所であれば内装はシンプルなケースが多いので費用が抑えられる場合が多いですし、飲食店等はやはり凝った内装が多いので、間仕切り壁をどこまで取るのか、残すのかによって金額は全く異なります。
また、産廃の搬出に関しても費用に大きく影響があります。
解体材の搬出をエレベーターを利用できるのか、それとも階段で下ろさないといけないのか。
はたまた、内装解体の現場に産廃トラックを横付けできるのか、近くのコインパーキングに駐車して小運搬しないといけないのか。
これらの要因によって、かかる金額は数十万から、施工範囲が広いと100万円単位で変わってきてしまいます。
となってしまうと、相場って言えないのはご理解いただけるかと思います笑
ですので、内装解体は特にオーナー様または、借主様との現場での施工範囲の確認作業が非常に大事になります。
<内装解体の施工範囲の確認>
相場と呼べるものがない分だけ、内装の解体は施工範囲の事前打ち合わせが大切。トラブルを未然に防ぐために、弊社では事前の打ち合わせを必須にさせていただいています。
今回は、実際に弊社にお問い合わせいただいた、路面の事務所の内装解体工事の流れをご紹介していきたいと思います。
事務所内装の原状回復・スケルトンの見積り公開【テナント事務所】
こちらの内装解体の見積りはこちらのブログで公開していますので、見積り費用の内訳を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
事務所の解体の流れと施工で気をつけるべきポイント
こんにちは!内装解体の職長です!
今回は、事務所の内装解体の事例を紹介していきたいと思います。
場所:東京都大田区中丸子
構造:鉄骨造3階建て
用途:1階がテナント事務所、2階・3階部分が賃貸マンション
1階部分で使われていた、広さ90m2の事務所の内装撤去工事を施工させていただきました。
移転されるにあたり、現状のテナントスペースのスケルトン解体が必要になり、弊社のHPをご覧になってお問い合わせいただきました。
残置物処分
デスクや収納はそのままダンプに乗せるよりも、ばらしてからの方が産廃運搬費用を抑えることができるのがポイント
まずは、事務所を移転される中で、不用になったデスクやキャビネット・収納棚類を解体して搬出しました。
組立て式のものが多かったので、インパクトドライバーとバールを使用し、小払ししました。
細かくすることで、ダンプに一度に多く積込みをすることが出来ます。
解体しないで(解体の手間を省いて)そのまま積込をすることもできますが、バラさなければ3台の運搬のところ、今回は解体すれば2台で分別搬出できそうでしたので、パパッと小払しを行いました。
天井解体
バールで下地を壊していく前に、天井の中の引っかけてしまいそうな配線を目視するのがポイント
不用品の片付けが終わったら、天井解体から手をつけました。
天井は、軽天下地にボードまたはジプトーンの一重張りでした。下地まで全て撤去予定でしたので、バールでボードとジプトーンを撤去して集積しました。
仕上げ材の撤去を終わらせ、軽天下地だけにして天井内部の状態を確認します。
下地を撤去するにあたって、引っかけてしまいそうな配線や配管類がないか目視しました。もし、ここで目視をせずにいきなりバールでぶっ壊していってしまうと、天井の中の配線をダメにしてしまう可能性があるからです。
問題が無いことを確認して、バールを利用して軽天下地を撤去していきました。吊りボルトまで撤去する指示でしたが、この段階では敢えて吊りボルトはあらかた残しておきます。
吊りボルトに天井裏にあった電気配線類を吊るしておいて、その後の作業に影響がないようにします。
この時点で配線類をぶら下げてしまうと、足に引っかけたりして転倒する恐れもありますし、配線を引っ張ってしまい断線・ショートをおこしたりしてしまいます。
この辺りも早く壊そうとして、ハマってしまう落とし穴です。起こりうるリスクに備えて丁寧な施工を心がけていきます。
間仕切壁解体
天井の処理が終わったら、間仕切り壁や建具類を撤去しました。
こちらもスタット下地にボードが一重張りでしたので、何の問題もなく解体できました。あらかた壁の解体が終わったら、ミニキッチンとトイレの水廻りを撤去しました。
この段階で、床の上はゴミだらけになっています。もし、そのまま床材の撤去を行うと、現場はぐちゃぐちゃになって搬出を行うことになるので、騒音・粉塵のトラブルを引き起こすこともあります。
この時点で、床の上には軽天・スタットの鉄くず類、ボード類、その他の混合廃棄物類が少々、各所に集積してあります。
床を解体するにあたって、一度ここで解体したものを搬出してきれいにしました。品目ごとに分別して積込み、各中間処分場に搬入しました。
床の上は、軽く掃き掃除までして、床を解体するにあたって支障がないようにしていきます。とにかく、丁寧に段取りをして安心・安全施工を心がけていきます。
床組解体・キッチン・トイレ撤去
床は木下地にコンパネで組んであり、仕上げ材にタイルカーペットやクッションフロアを使用してありました。仕上げ材を最初に撤去して、続いてコンパネをバールで撤去していきました。
コンパネは下地に釘で打ち付けてあっただけでしたので、バールだけで撤去できました。
ビスで打ち付けてあったり、バールのテコだけで上がってこないほど、しっかりと打ち付けてある場合は、インパクトドライバーや丸鋸を併用して撤去していきますが、今回はすんなり上がってくれて良かったです。
床組の解体が終わったら、解体したものを搬出しました。
外周躯体面の内装材撤去
内装材の撤去は、あとは外周面のクロス剥がしのみです。
こちらの建物は内部の外周の躯体面はモルタルで一度覆われており、直接クロスを貼ってありました。スクレーパーとカッターナイフを使いクロスを剥がしていきました。
エアコン撤去・不用電気配線・給排水管類処理
内装材の撤去が完了した後は、いつもお世話になっている電気屋さんとフロン回収業者さんに現場に入ってもらいました。エアコンのフロンガスを回収してもらい、不用な電気配線の処理をしてもらいました。
フロンガス回収が完了したエアコンの内機・外機を撤去し、今回は冷媒管をそのまま残すということでしたので、再利用できるように電気屋さんに処理してもらいました。電気配線は不用線を撤去してもらい、誘導灯類は残しました。
配線の処理が終わった段階で、残しておいた吊りボルトやアクセサリー類を撤去しました。撤去したものを搬出したら解体作業は完了です。
リプロでは現地調査を必須とさせていただく理由
リプロでは正確なお見積もり算出を目指します
最終清掃は、掃除機を使用しダメを確認しながら行いました。今回は人数と車両を予定より多くまわせたため、予定工期より短く5日間ほどで完了することができました。
また、搬出の条件が良かったことも工期を短くすることができた要因です。
作業フロアが1階でかつ 出入り口の目の前に工事車両を駐車することができましたので、解体材を搬出する手間が少なく済みました。
やはり搬出の条件は大事です。施工階が3階でしかも階段で搬出だったとしたら、確実に人数も多くかかりますし、工期も1日から2日長くなっていたと思います。
この辺りも、現地調査を行うことで、正確なお見積もり算出ができるのです。
よくお問い合わせでいただくのは、
「概算でいいから、とりあえず価格出してよ」
「相場でいくらなの?」
というご依頼が多いのですが、この業界では、まず概算でなんて数字は出せません。
搬出経路が違えば、現場ごとにかかる日数・作業員の数は異なりますので、費用は大きく変わって来ます。
リプロでは現地調査で、しっかりと根拠のあるお見積もり算出に努力しております。
オーナー様・借主様・不動産会社様の撤去範囲の認識不一致
内装の解体のお問い合わせをいただく際には、、、
「スケルトン解体でお願いします」とよくご依頼をいただきます。
ところが、この「スケルトン解体」という用語の認識のあいまいさが、トラブルの多くを引き起こします。
というのは、今回は実は、当初はスケルトン解体ということで、外周面のボードを全て撤去する予定だったのです。
スケルトン解体というと、本当に何も残っていない状態にすることをスケルトン解体というのです。
意外とオーナー様自身や借主様自身、残すべきもの・撤去すべき部分や、ご自身で後付けした内装ボードなどを共有できていないことが多いのです。
いざスケルトン解体をしてみると、、、
オーナー様からは、「ここは残してくれるんじゃなかったの?」
借主様からは、「ここって撤去するはずなのになんで残っているの?」
など、施工範囲の認識の不一致から、トラブルが起こってしまうのです。
弊社では貸主の方と借主の方との作業内容の確認は必須だと考えます。
原状回復工事の場合、借主の方が私たちのお客様になることが多いです。最初の状態の記憶が曖昧で、スケルトンにするように言われていると話されます。
このスケルトンという言葉が実は微妙で、私たち専門業者からしたら「スケルトン=内装材を全て撤去して躯体をむき出しする」なのです。
営業が現場調査の時点で、撤去範囲を詳しく伺うのはこのためです。
内装解体で起こる可能性のある3つのトラブルとその解決方法、店舗ごとの解体費用のイメージ、施工事例をこちらでまとめていますので、ご覧になってください。
まとめ
今回のお客様は、当社のホームページをご覧いただきお問合せ頂いたようです。
事務所移転に伴う案件でしたが、お客様のお力になれて良かったです。
ありがとうございました!
<テナントビルの内装解体の事例紹介①【JR秋葉原駅前】>
テナントビルの内装解体の事例はこちらになりますので、気になる方はご覧ください。
<リプロの施工事例はこちらをご覧ください>