立体機械式駐車場の解体の流れを事例で紹介【解体業者が解説】
2022/11/20更新
<解体業者が教える3つのポイント>
・機械式駐車場の撤去で気をつけるべきポイントを解説
・機械式駐車場の解体の流れがわかるようになる
・実際の解体作業を画像付きで解説
目次
1.2 重機の作業スペースや産廃トラックの駐車スペースがあるか
1.3 地下駐車場の場合、撤去後は機械式を新設か埋め戻しなのか
機械式駐車場の撤去で注意すべき3つのポイント
お疲れ様です。
施工管理を担当しております金森です。
今回は、先日施工を終えた、東京都練馬区の立体機械式駐車場の解体現場の内容を、ご紹介していきます。
機械式駐車場は東京近郊ではマンション、商業施設など多くの場所で利用されているのですが、車1台1tを超える重量を何十台も載せていますので、当然経年劣化していきます。
減価償却上の耐用年数は15年なのですが、メンテナンスされていれば、20〜25年が耐用年数の目処だと言われています。
マンションなどでは3回目の修繕のタイミングで、機械式駐車場の建替えを検討される時期になることが多いのではないでしょうか。
この際、機械式駐車場の解体をご検討するにあたって、お客様がまず気をつけるべきポイントは、、、
所在地が住宅街や商店街なのか
重機の作業スペースや産廃トラックの駐車スペースがあるか
地下駐車場の場合、撤去後は機械式を新設か埋め戻しなのか
です。
これらの内容次第で、解体費用のお見積り金額は変動しますので、よかったらご確認いただけると幸いです。
また、立体機械式駐車場の解体費用について、詳しく知りたい方はこちらを参考になさってください。
立体機械式駐車場の解体費用【見積り費用の項目別内訳を解体業者が解説】
所在地が住宅街や商店街なのか
駐車場の所在地が、住宅街や商店街の中にあると、あまり大きな音を出しての解体作業が難しくなります。
そのため、手壊し解体がメインになり、重機の稼働は最小限となるような施工計画となると、お見積り金額に影響がありますので、機械式駐車場の所在地の周辺環境は大事になります。
重機の作業スペースや産廃トラックの駐車スペースがあるか
駐車場なので、工事中は作業スペースが広く取れることが多いのですが、マンションなどでは住民の方もお住まいのため、作業スペースや駐車スペースが限られてしまうと、解体費用に影響が出てきます。
一つ目の理由と同じで、重機での解体作業時間よりも、手壊し解体が多くなると、その分工事日数が伸びやすく、作業員の工数も増えてしまいます。
同様に、産廃用のダンプもどの大きさが駐車できるのか、現場からどのくらいの距離に置けるのかによって、作業工数が変わってくる要因になりますので、この辺りの解体費用に影響が出てきます。
地下駐車場の場合、撤去後は機械式を新設か埋め戻しなのか
機械式駐車場をまた新設する場合、解体費用に関しては、構造を解体して撤去する分の解体費用で済みます。
ところが、地下まで降りるタイプの機械式駐車場の地下部分を埋め戻して、更地にして青空駐車場にしますといった場合、埋め戻しのための外構工事となります。
砕石を入れて、仕上げをアスファルトにしてランマーで転圧していくのですが、ただ埋め戻しすると、自然沈下してしまう可能性もあります。
そのため、中に水抜き穴を作り、コンクリートスラブを新設していくことになるので、そうなるとかなり大掛かりな外構工事となってしまうのです。
実際に、地下駐車場を埋め戻す方法は2つあるので、ご紹介していきましょう。
ピットを残したまま埋め戻す方法
ピットというのは、写真のように地下にスラブまたは土間コンクリートを作り、鉄筋コンクリート造の空間のことを言います。
もし、ピットを残したまま埋め戻すとなると、水抜き穴を作ったからといって周辺の水位の影響を受けて地面が盛り上がってしまったり、陥没させたりすることも考えられますので、事前に水位を確認する必要があります。
また、大きな地震や台風などの災害時にも、同じように地面が盛り上がったり陥没する可能性もあり、また、砕石で埋め戻していくのですが、ピットのコンクリート土間やスラブの厚みによっては砕石に耐えらない場合も考えられます。
このように、地下のピットはできれば解体し、撤去してから埋め戻した方がいいのです。
ですが、マンションの機械式駐車場の撤去を想像してもらいたいのですが、、、
「例えば、マンションの機械式駐車場を撤去するとなると、作業スペースも限られていて、なおかつ住民の方がお住まいになっているところで、鉄筋コンクリート造のピットを解体するのに、大きな養生をして、大型の重機を入れて、解体したコンクリートガラを撤去するダンプをマンションの駐車場に乗り入れて、大きな騒音と振動がある作業が約2〜3ヶ月続く、、、」
というのは、現実的に難しいことが多いのは想像できるかと思います。
ですので、実際には周辺の水位と、砕石の重さに耐えられるコンクリートの厚みがあれば、ピットを残したまま水抜き穴を作り、砕石を入れ、スラブを新設することで埋め戻す場合が多いかと思います。
ピットを解体・撤去してから埋め戻す方法
マンションなどではなく、商業施設にあるような地下駐車場で、もし周辺に十分な作業スペースもある場合、地下のピットを大型の重機を使って解体していくこともできます。
ピットを残すよりも、ピットを解体・撤去する作業工程があるため、工期は長くなり、解体費用もかかってきますが、地盤のトラブルは回避できますので、将来的にはより安心できる施工方法になります。
実際には、ピットを残すのか、ピットを解体するのかは、事前にお客様とも相談しながら、最適な方法を選択していきます。
地下駐車場の埋め戻しの流れ
・機械式駐車場の電力を遮断する
↓
・手壊し解体である程度解体しておく
↓
・重機を使用して構造を解体・撤去していく
↓
・地下ピットの水抜き穴を作り、砕石で埋め戻しスラブを新設する
↓
・アスファルトで塗装し、ライン引きと車止めの設置で完了
地下駐車場の埋め戻しの流れはこのようになります。
現場状況や施工後の利用目的などで解体費用は変動しますので、お見積りを依頼する際に、解体業者さんとよく相談なさってください。
今回、下記にご紹介する内容は地下駐車場ではなかったので、埋め戻しの作業は必要ありませんでした。機械式駐車場の撤去をご検討するにあたって、実際の工事の流れが少しでも参考になれば幸いです。
それでは、実際の解体事例を見ていきましょう!
解体工事の概要
【地域】東京都練馬区
【構造】鉄骨造(S造)
【工期】1ヶ月
準備工事・養生
解体工事を始める前に、機械式なので当然電気が通っています。この場合、電気屋さんにお願いして、電気の配線の処理をやっていきます。
また、消火栓が各所に設置されているので、消化設備も撤去していきます。
完全に、機械式の駐車場の構造だけの状態にして、足場を組んで養生をすることで、撤去作業を開始できます。
開口部の解体
バッテリー式電動インパクトの使用
重機を入れられるように開口部を、電動工具を使用して手壊しでバラしていきます。
使用するのは、まずはバッテリー式電動インパクトです。
ただ、H鋼と呼ばれる鉄骨も、ボルトとナットで締められているのですが、何十年も前に締められたものなので、バッテリー式の電動インパクトでは基本的にボルトが回らないことが多いです笑
有線式の強力な電動インパクトもあって、有線式電動インパクトならボルトが回ることもあるのですが、音が非常にうるさくなってしまうので、リプロでは基本的に使用していません。
特に今回のように、東京都内の商店街のあるような立地で使用して、近隣の方から苦情が来てしまうと現場が何日も止まってしまったり、これからも住まい続ける場所なのに、近隣の方に嫌な思いをさせてしまったりしてしまうからです。
リプロ工法(騒音対策)
解体作業では工期を短くすることも大事ですが、何より騒音・振動・粉塵など近隣にご迷惑をかけないように、安心・安全な工法を選択して施工していきます
それでは、ボルトとナットが回らない場合、実際にどのように開口部を手壊ししていくのかというと、、、セーバーソーまたは酸素ガス切断機を使用していきます。
セーバーソー・酸素ガスを使用した鋼材の切断
こちらがセーバーソーになります。
現場の状況や切断する解体材によって、セーバーソーなのか、酸素ガス切断機を使用するのかは変わってきます。
今回の場合は、セーバーソーで大体解体できました。
重機解体
重機が入るスペースが確保できたので、左右のボルトとナットを電動インパクトで外すか、またはセーバーソーで切断するかを行い、0.25サイズのクレーンタイプの重機で鉄骨を吊って解体していきました。
リフト撤去
車を上階まで上げるためのリフトを撤去します。重機で吊って安全な場所に移動させたのちに、産廃のダンプで運べるサイズに手壊しで切断して、解体材を産廃のダンプに載せていきます。
仕上げ・清掃
機械式駐車場を解体し、清掃した後はこのようになりました。
続いては、お客さまの撤去後の利用目的が、平置きの駐車場にされるとのことでしたので、外構工事に入っていきます。
外構工事
生コン打ち
植栽と土だった一部を根切り、路盤作成を行い、生コンクリート打設し、駐車場として使えるように工事をしていきます。
今回の機械式駐車場は地下まで降りるタイプではなかったため、外構工事といっても大掛かりなものではありませんでした。
ライン引き・車止め設置
後は、平置きの駐車場として使用できるように、ラインを引いて車止めを設置していきます。
仕上げ・清掃
最後に清掃して、お客さまに確認していただき、完工となりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
立体機械式駐車場の解体をするって、意外といろんなことに気を遣って工事をしているのがわかっていただけたかもしれません笑
お見積り時点で、事前に施工計画をしっかり説明してくれる解体業者に発注することをお勧めします。
「建物を壊して更地になってしまえば、どこに頼んでも同じ。」
そんなことはありません。
費用の比較ばかりで解体業者を選ぶと、こんなところで痛い目に合ったりします。
お客様が本当に信頼できる一社を探してみてくださいね。
【解体業者へ直接発注】解体費用を抑えながら高い施工技術を実現します
解体業界では、価格比較サイトがとても増えました。複数業者の相見積もりで価格を比較して、お客様に選んでもらうシステムです。
確かに、業者同士でお見積りを競い合わせれば、お客様のお支払いする解体費用は安くなると思います。
ただ、あまりに行き過ぎた価格競争によって、現在では本来必要とされる正しい施工計画で解体をなされない現場が増えてきている懸念を感じています。
価格比較サイトのデメリット
・価格比較サイトから解体業者に紹介料マージンが10~20%発生している
・一人親方や数人規模の業者が多いため、施工技術にムラがある場合がある
・解体費用は安くなる一方で価格競争になる分、施工管理が煩雑になる場合がある
総合解体業者へ直接発注のメリット
・価格比較サイトへの紹介マージンがかからない分、正しい施工計画を立てられる
・様々な現場を経験した職人による施工で安心した施工ができる
・鉄骨造やRC造の解体に必要な建機を自社保有するためレンタルのマージンをカット
解体業者へ直接発注で紹介料マージンを抑えながら、、、
騒音・粉塵など近隣への配慮が必要な現場
鉄骨造、RC造など専用の建機とアタッチメントが必要な現場
アスベストがあって規則に沿った対応をすべき現場
これらのご相談は特に、総合解体業者であるリプロなら、お客様も納得のいく解体施工をご提供できるかと思います。
立体機械式駐車場の解体は、ぜひリプロにご相談いただけると幸いです。
みなさまからのお問合せ、お待ちしております!
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