アスベストレベル3の外壁・屋根・内装材の除去方法と除去費用
<解体業者が教える3つのポイント>
・アスベストレベル3の外壁・屋根材除去の流れを解説
・解体業者が除去に当たってどこにこだわっているかがわかる
・実際の除去作業を画像付きで解説
目次
1 アスベストの事前調査の報告が必須に(2022年4月より)
1.5 アスベスト事前調査には資格が必要に(2023年10月より)
アスベストの事前調査の報告が必須に(2022年4月より)
建物の解体作業には、アスベスト除去作業が発生することがあります。
アスベストは、1960-90年代に建てられた建物には様々な建材に使用されていました。2021年現在、解体されるような古い建物には、少量でも基本的に何かしらの建材には使われていることが多いかもしれません。
古い建物を解体をする際には、必ずアスベストの有無を確認する必要が出てきますので、こちらのブログを参考にしていただけるといいかと思います。
どこにアスベストは使われているのか
住宅で多いのは、、、
屋根材
外壁材
内装材
外壁塗膜(RC造の場合)
鉄骨吹きつけ(鉄骨造の場合)
屋根材、外壁材、内装材の場合、ほとんどがレベル3扱いになります。これらは、処分に当たって工事金額に実際どのくらい影響があるのでしょうか?
仮に建物が延床20坪2階建ての住宅の解体だったとして、外壁が窯業系サイディングと屋根スレート材がアスベストレベル3含有建材だったとします。
その場合、約35~50万円ほどがアスベスト除去費用にかかっていることになります。
※詳しくは、下記のアスベストの外壁・屋根材除去費用の内容。
もし建材がモルタル外壁と瓦屋根であれば150万円で解体できるはずが、アスベスト除去のために200万円の解体費用になってしまうなんてことはザラにあるのです。
もし、住宅解体の見積もりを競い合わせすぎてしまい、このアスベスト処理を適切に行わない業者に発注してしまうと、発注者であるお客さまに処罰が起きる可能性もありますので、注意してください。
見積もりを競い合わせすぎない
住宅の解体において、アスベスト除去にかかる費用は35~50万円ほどは計上されます。必要以上にコストカットしようとしすぎると、適切にアスベスト処理を行わない業者に当たってしまい、発注者責任を負うことも
今回は、外壁・屋根材・内装材でどのような手順でアスベスト除去をおこなっているのか、そして実際に原価でいくらかかっているのかをご紹介していきたいと思います。
また、工場やビルなどでは配管やダクトにはアスベストのレベル2、鉄骨造では吹きつけとしてレベル1が使われています。こちらは、さらに大掛かりな撤去作業が必要になります。
鉄骨造では、大型施設だけはなく、住宅の場合でも鉄骨へのアスベスト吹きつけもあり得ます。この場合、解体費用よりもレベル1のアスベスト除去費用の方が高くなるほど工事金額に大きな影響がございますので、十分注意してください。
アスベストの外壁塗膜除去については、下記のブログをご参考ください。
アスベストレベル3の外壁塗膜除去作業の一部始終【解体業者が解説】
アスベストの事前調査の報告対象となる工事
① 解体部分の延床面積が80㎡以上の建築物の解体工事
② 請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事
③ 請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事
(引用:石綿総合情報ポータル)
令和4年の法改正により、上記の工事に場合、アスベストの事前調査の報告が必須になりました。
ですので、これまで必要がなかった木造住宅など小さな解体工事でも、発注者様がアスベストの含有状況を把握する必要が出てきました。
解体業者への義務
事前調査結果を発注者へ書面で説明
事前調査結果を解体工事の場所に掲示
事前調査結果の「記録の作成」、3年間の保存(2022年4月より追加)
事前調査結果の「報告」を義務化(2022年4月より追加)
(引用:石綿総合情報ポータル)
2022年4月より、上記の内容が追加されています。
報告対象の工事であるにもかかわらず、解体を予定する業者がしっかりとした対応を行なっているかどうか、これからは十分に注意をする必要が出てきました。
含有されるアスベストの内容によっては、工事金額、日数に大きく影響が出てきています。
発注者様への義務
(ア) 当該調査に要する費用を適正に負担すること。
(イ) 当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調査に協力すること。
(引用:石綿総合情報ポータル)
アスベストが含まれる解体工事の発注者は、この事前調査について、費用を適正に負担することと調査に協力することが義務とされています。
それでは、実際に、解体業者がどのような工程でアスベストレベル3を除去しているのか、解説していきたいと思います。
実際にアスベスト建材が住宅のどこに使われているかを詳しく知りたい方は、こちらのブログをご参考ください。
アスベスト含有建材の事例紹介【木造住宅解体のケース】
アスベスト事前調査には資格が必要に(2023年10月より)
2023年10月の法改正により、有資格者でなければアスベストの事前調査は行えなくなりました。
石綿含有建材調査者または、(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録されている方が資格者となります。
ですので、もし解体をお願いしようとしている業者さんがこの資格を保有しているかどうかを調べてみてください。
アスベストがある箇所(外壁・屋根材・内装材)
外壁
運搬処分原価17万円 + 除去手間原価10~20万円 = 約27~37万円
アスベストのレベル3で一番価格にインパクトがあるのが外壁です。
通常の外壁の場合の混合産廃処分費用 2万円
外壁アスベストレベル3含有建材処分費用: 4.5万円
(1立方メートルあたり)
例えばですが、延床20坪の戸建住宅だとして、外壁7立方メートルの規模となる、混合廃棄物処分のモルタル外壁とアスベストレベル3の窯業系サイディングを比較すると、、、
運搬処分費用17万円出ることになります。
続いて、手間の原価です。
アスベストレベル3が外壁材に含まれている場合と、そうではない場合では、解体作業の手間が全然違うことになります。
通常は、重機や手壊しで外壁をバンバン壊して、産廃ダンプに乗せていけるのに、先行で撤去することになり、できるだけ成形を保ったまま、湿潤させてフレコンパックに詰めていくのです。
原価だと、アスベストじゃないと人工5人で済むところ、人工10人かかる計算になります。
外壁を壊す手間という意味では、重機を1人工だとして原価20万円のところ、外壁がアスベストだと先行で壊すから、原価 30~40万円ほどになります。
ここで、除去の手間の原価として、10~20万円は差が出ることになります。
この運搬処分の原価と除去の手間の原価を合わせると、34~47万円もの金額になります(この金額は原価になりますので、ここから事務費用や解体業者の利益が乗ることになります)。
これだけの金額になるので、弊社では必ずアスベスト検体検査(費用3.5万円)を実施して、もし入っていない場合は解体費用を安く済ませることができます。
ですので、お見積りの段階で、アスベストが入ったパターンと入っていないパターンを提出することが多いです。
処理に当たっては、以前の住宅によく使用されていた外壁の窯業系サイディングでは、現在は中間処理施設では「アスベストが入っていな証明書」を発行しないと受け取ってくれなくなりました。
最近では、さらにモルタルでも検体検査を出すようになり、いよいよアスベスト検査が厳しくなってきたのを感じます。
屋根
運搬処分原価5万円(2立米) + 手間原価2~5万円 = 約7~10万円
屋根も、瓦屋根でアスベストが入っていない場合、瓦を屋根から産廃ダンプの上に落とすだけでいいのですが、アスベストが入っているようなスレートの場合、是切るだけ成形を維持したまま、湿潤させてフレコンパックに梱包することになります。
延床20坪の住宅だと、屋根材のアスベスト除去作業に1~2人工増える計算になります。
ここで、外壁と異なるのが、、外壁は30万円以上の原価がかかってきますので、事前に必ず検体検査を行います。
が、屋根材の場合、検査をしてもしなくても、正直金額が大きな差がないのです。
(検査をした場合)
検体検査費用 3.5万円 + アスベスト建材処理費用 5万円 = 約8.5万円
(検査をしないでみなし処理をする場合)
検体検査費用 0.0万円 + アスベスト建材みなし処理費用 5万円 = 約5.0万円
屋根材のスレートも中間処理施設へ運搬処理する際に、「アスベストが入っていない証明書」を発行しない限り、受け取ってくれません。
屋根材のメーカーさんに直接電話して、品番と年代を言えば、アスベストが入っているかどうかがわかります。もし、入っていない場合は入っていない証明書の発行をしてもらえます。
実際には、屋根材が瓦ではなくスレートであった場合、検査をすると余計に検査費用がかかってしまうので、アスベストが入っていると「みなして」アスベスト処理することが多くなっています。
内装材
内装材の石膏ボードにも、アスベストは入っている可能性がありますので、こちらも検査に出しています。
アスベストの外壁・屋根の除去方法
アスベスト検体検査
検体検査はこのように、外壁サイディングと、石膏ボードの一部を切り取って工事を開始する前に検査にかけます。屋根材のスレートに関しては、前述の通り、アスベストが入っていると「みなし」てアスベスト処理を行います。
アスベスト除去作業
アスベストレベル3を含んだ建材を除去していく際には、アスベスト建材を水を入れたスプレーなどで湿潤をし、作業員はマスク・ゴーグル・保護衣(ヤッケも可)・ゴム手袋によって作業を行います。
レベル1・2の場合は、保護衣ではなく、保護服というより頑丈な専用の衣服を装着する必要があります。
外壁を先行で内側から剥いていき、2階の室内に集積をしておきます。
集積
トン袋(フレコンパック)と呼ばれるゴミ袋にまとめて集積します。
この際、できるだけ成形を保ったまま、袋づめしていきます。
中間処理施設へ運搬処理
トン袋(フレコンパック)にまとめたアスベスト建材は、そのまま中間処理施設へ運搬処理し、アスベストレベル3として処理されることとなります。
安定型と管理型
通常、解体業者は産廃運搬処理する際に産廃屋と契約を結んでいます。
アスベストレベル3では、安定型(埋め立てしても重さ比重が変わらない)と、管理型(水分が吸収して比重が変わる)の2つがあります。
最近は結構うるさくなってきて、屋根にこけがついていた場合や防水のブルーフィング、黒紙がくっついて剥がれない場合では、きっちり分別して処分するように言われることも多くなってきました。
関東近辺の産廃屋さんは、安定型が1立米3.5~4万円、管理型が4.5~6万円が相場ではないでしょうか。
あとは、解体業者と産廃屋さんの契約に基づいて、アスベストは処分されることになります。
まとめ
いかがでしょうか?
アスベストってニュースで聞いたことはあるけど、お住まいの住宅にも以前は当たり前のように使われていて、解体する時になって初めて目の当たりにすることが多いかもしれません。
アスベストレベル3といえど、外壁と屋根材に含まれている場合は35~50万円ほど総額に加算されてしまいます。
お見積りを頼んでいる解体業者さんがしっかりとアスベスト処理をおこなってくれる業者なのか、確認してから発注なさってくださいね。
「建物を壊して更地になってしまえば、どこに頼んでも同じ。」
そんなことはありません。
お客様が本当に信頼できる一社を探してみてくださいね。
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