スケルトンより難しい?内装解体の部分撤去の事例を紹介【解体業者が解説】
2023年3月20日更新
<解体業者が教える3つのポイント>
・内装の部分撤去で発注前に注意すべきポイントを解説
・内装解体の流れがわかるようになる
・実際の解体作業を画像付きで解説
目次
2.1 解体業者が施主様のご意向をきっちりと理解できているか
2.2 現地調査時に、施工技術者目線の提案ができているかどうか
店舗などの内装部分撤去の解体費用
運営していた店舗を閉店・移転するにあたって、内装を撤去しなければならなくなってしまった・・。
でも、内装解体工事の費用ってどのくらいなのだろう?まずは、費用が気になりますよね?
ところが、、実際にこれまで2,500件の内装解体をおこなってきた弊社に言わせると、、
内装解体工事の費用の相場はあってないようなものなのです。
というのも、撤去範囲・作業内容・産廃の種類によって、金額が大きく変動してしまうからです。
<内装の解体費用の相場>
撤去範囲・作業内容・産廃の種類によって、金額は大きく変わるため、相場と呼べるものはないと考えた方がいい
例えば、RC造の建物でスケルトン解体と言われれば、天井・壁・床の躯体コンクリートを表すまで内装材を撤去します。
しかし、同じスケルトン解体であっても、内装の状況によって作業内容・産廃の種類が異なってきます。
事務所として使用されていたのか、飲食店を運営されていたのか、それともマッサージ店なのか?
事務所であれば内装はシンプルなケースが多いので費用が抑えられる場合が多いですし、飲食店等はやはり凝った内装が多いので、間仕切り壁をどこまで取るのか、残すのかによって金額は全く異なります。
また、産廃の搬出に関しても費用に大きく影響があります。
解体材の搬出をエレベーターを利用できるのか、それとも階段で下ろさないといけないのか。
はたまた、内装解体の現場に産廃トラックを横付けできるのか、近くのコインパーキングに駐車して小運搬しないといけないのか。
これらの要因によって、かかる金額は数十万から、施工範囲が広いと100万円単位で変わってきてしまいます。
となってしまうと、相場って言えないのはご理解いただけるかと思います笑
ですので、内装解体は特にオーナー様または、借主様との現場での施工範囲の確認作業が非常に大事になります。
<内装解体の施工範囲の確認>
相場と呼べるものがない分だけ、内装の解体は施工範囲の事前打ち合わせが大切。トラブルを未然に防ぐために、弊社では事前の打ち合わせを必須にさせていただいています。
今回は、実際に弊社にお問い合わせいただいた、部分撤去の内装解体工事の流れをご紹介していきたいと思います。
内装の部分撤去を発注する前に注意すべきポイント
今回は、内装解体において、スケルトンではなく部分撤去をお客様が解体業者に発注する前に、注意してほしい2つのポイントを解説していきます。
また、具体的にわかるように、先日施工が完了したホテルの内装解体の事例について、ご紹介していきます。
解体業者が施主様のご意向をきっちりと理解できているか
店舗、飲食店、オフィス、ホテル、カラオケ店など内装を一部撤去してリフォームされたいケースも多いかと思います。
スケルトン解体でしたら、全部を壊していけばいいので比較的スムーズにいくのですが、、、
内装解体の部分撤去となると、解体業者は施主様のご意向を間違いなくお伺いしながら、現場の職人に伝えて施工管理をしていかなければいけません。
もし、現場の職人さんが今回が初めての外注さんだったり、外国人の方で日本語が慣れていなかったりで、うまくコミュニケーションが取れていないと、、、
「この壁は残して欲しかったのに」
「クロスはそのままにして欲しかったのに剥がされてしまった」
「買ったばかりのエアコンが撤去されてしまった」
このような信じられないことが、この業界では起こり得てしまうのです。
内装解体あるある
壊して欲しくないところまで壊してしまったケース。解体業者の担当が施主様のご意向をきっちり把握できているかどうか、そして施工管理と現場とのコミュニケーションが大事になります。
発注する予定の解体業者さんが、どのような施工管理をしてどのような職人体制を組むのか、事前に把握してみるのをおすすめします。
現地調査時に、施工技術者目線の提案ができているかどうか
先述の通り、スケルトン解体なら全部を壊して撤去すればいいので、多少荒く解体していっても大事にならないで済む場合もあるかと思います。
ですが、部分解体になると、残す部分と壊す部分があるので、、、
残す部分を傷つけたりせずに、バールや電動工具を使用しながら内装材を壊していく必要があるため、しっかりとした事前準備と施工計画が大事になります。
内装解体の現地調査
現地調査においては、平面図と断面図を見ながら、現地の状況を天井裏から目視で確認をして、どういった施工方法なら無理なく撤去できるかどうかをご提案する必要があります
解体業者が、お施主様のご意向を把握しながらも、平面図や断面図、そして現地調査で天井裏まで目視で確認して、施工計画を練っているかどうか確認していることをおすすめします。
それでは、実際の事例をご紹介しながら解説していきたいと思います!
実際の内装部分撤去の施工事例
ホテル内装工事の概要
キッチン、トイレ、洗面台など水回り撤去
間仕切り壁 約47m2撤去
ウッドデッキ 約23m2撤去
今回の工事はお客様から、建物の間取り変更のリノベーション工事のため、壁の一部と浴室、トイレの解体をご依頼いただきました。
部屋には残す予定のベッドやエアコンがあり、解体の前に移動したり養生設置など、工事の前に準備作業が必要な現場でした。
また、建物の1階がレストランで営業しながらの工事だったため、騒音や搬出などでご迷惑をお掛けしないよう注意しながら作業を行いました。
準備作業
まずは、荷物の搬出を行います。
移動の際に、汚れやキズに注意しながら、荷物保管スペースまで運びました。
移動が出来ないエアコンなどは、ホコリがつかないようにマスカーを使用して、養生を行いました。
次に、浴室とシャワーの給水を止めます。
他のフロアで水を使用している箇所があるため、止水バルブを閉めてキャップをしていきます。
バルブで水が止まりきらない場合があるので、必ずキャップ止めを行います。
解体中に、他のフロアから水漏れなんてことになったら大事です。
ここまで準備をして、やっとメインの解体作業に取り掛かります。
内装解体は、事前準備が大事です。
内装解体工事
まずは、トイレの便器や建具など、壁を解体するのに障害となるものから外していきます。
水も止めてありますし、エアコンも養生がしてあるので問題なく解体できました。
壁の解体ですが、作業前に天井裏から確認したところ、壁を先に作ってから天井工事をしている物件であることがわかりました。
図にするとこんな感じ。
平面図は、あらかじめお客様から頂いていましたが、断面図は無かったため図面からは見えない箇所でした。
ホテルやカラオケボックスなど、音を外に出したくない部屋は、天井からの音抜けを防ぐため、このように壁から作るのが基本的です。
このまま壁だけ撤去すると、天井の中に壁のボードと下地が残ることになるので、現場監督と相談をして、一部天井を開口してから壁を解体する事になりました。
ちなみに、天井材は躯体から数か所で吊ってあるので、壁を撤去しても十分保持されています。
躯体の構造の知識を持って、施工計画を立てないで部分撤去をしてしまって、施工後に思わぬ不具合など起こってしまわないように、施工計画を立てていきました。
浴室は、周りの壁がなくなったら配管を確認しながら、解体していきます。
部分撤去ですので、お施主様から事前に配管は再利用すると伺っていため、破損させないよう注意しながら作業していきますが、配管に使われていたパイプが細かったので、補強をとってから作業しました。
内装解体工事は、以上となります。
作業時間は、3人で3日、産廃は3トントラック3台でした。
現場の前に、トラックを停車させて作業しましたが、室内から外まで階段で搬出を行ったので、時間がかかりました。
ウッドデッキ解体
次に、ウッドデッキの解体です。
こちらも、施工管理と現場の職人さんとの事前打ち合わせで、材木に設置してある看板や照明など、残す物があったので先に外しておきました。
後は、木組みで作られたウッドデッキなので、上から順番に壊していきます。
解体はボルトを外すだけで十分でしたので、インパクトドライバーで撤去していきました。
とても大きな木でしたが、切断すると多少なりとも音とホコリが建つため、そのままのサイズでも十分車輛に乗るサイズだったため、そのまま車両に積み込みしました。
ただし、外す作業より、積み込み作業が大変でした。
今回は、チームワークがバッチリだったので、特に問題なく解体出来ました。
解体作業は、事前準備とチームワークが本当に大事です。
同じ位置に、ウッドデッキを再度設置するとのことで、基礎は残しでした。
後は、デッキがあった所の掃除をして完了です。
材木が古いとボロボロと木くずが出てくるため、掃除も一苦労ですが、まだ新しい木だったので大して散らからず助かりました。
作業は4人で1日、トラックを使用しました。
難しい所はありませんでしたが、木を外す時など危険を伴う場面があり気をつけて作業をしたので少し時間がかかりました。
リプロでは現地調査を必須とさせていただく理由
リプロでは正確なお見積もり算出を目指します
今回はの撤去作業は、現場の前に、トラックを停車させて作業をすることができました。
ですが、室内から外まで階段で搬出を行ったので、3人で3日間の作業時間がかかりました。
また、今回は壁の残し方にも注意が必要な現場でした。
このように、搬出経路や残す建具などによって、現場での作業時間は全然変わってきます。
この辺りも、現地調査を行うことで、正確なお見積もり算出ができるのです。
よくお問い合わせでいただくのは、
「概算でいいから、とりあえず価格出してよ」
「相場でいくらなの?」
というご依頼が多いのですが、この業界では、まず概算でなんて数字は出せません。
搬出経路が違えば、現場ごとにかかる日数・作業員の数は異なりますので、費用は大きく変わって来ます。
リプロでは現地調査で、しっかりと根拠のあるお見積もり算出に努力しております。
撤去範囲の認識の不一致で起こるトラブルを防ぐため
内装の解体のお問い合わせをいただく際には、、、
「スケルトン解体でお願いします」
「原状回復工事をお願いします」
とよくご依頼をいただきます。
ところが、この「スケルトン解体」・「原状回復」という用語の認識のあいまいさが、トラブルの多くを引き起こします。
というのは、今回のように部分撤去で残す部分があるとなると、もしスケルトンだと思って、全部解体してしまうと大変なことになってしまいます。
スケルトン解体というと、本当に何も残っていない状態にすることをスケルトン解体というのです。
意外とオーナー様自身や借主様自身、残すべきもの・撤去すべき部分や、ご自身で後付けした内装ボードなどを共有できていないことが多いのです。
いざスケルトン解体をしてみると、、、
オーナー様からは、「ここは残してくれるんじゃなかったの?」
借主様からは、「ここって撤去するはずなのになんで残っているの?」
など、施工範囲の認識の不一致から、トラブルが起こってしまうのです。
弊社では、貸主の方と借主の方との作業内容の確認は必須だと考えます。
また、原状回復工事の場合、借主の方が私たちのお客様になることが多いです。最初の状態の記憶が曖昧で、スケルトンにするように言われていると話されます。
このスケルトンという言葉が実は微妙で、私たち専門業者からしたら「スケルトン=内装材を全て撤去して躯体をむき出しする」なのです。
営業が現場調査の時点で、撤去範囲を詳しく伺うのはこのためです。
内装解体で起こる可能性のある3つのトラブルとその解決方法、店舗ごとの解体費用のイメージ、施工事例をこちらでまとめていますので、ご覧になってください。
まとめ
というわけで、スケルトンではなく、内装の部分撤去を発注する前に注意すべき2つのポイントを、解説しました。
その上で、ホテルのリノベーションのための内装の部分撤去解体の様子を、事例としてお伝えしました。
今回の現場では、間仕切り壁の撤去でテクニカルな作業はありましたが、お施主様には施工方法を事前にご提案した上で、無事作業終了しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
内装解体は、お客様の大事な資産を蘇らせる過程になります。
リノベーション工事の部分撤去をご発注される際に、何かしらのヒントになっていただけましたら幸いです。
<パートナー企業・協力会社様募集♪>
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