手壊し解体の手順と費用【重機が入らない土地の解体方法と費用の目安】
2023年8月19日更新
目次
こんにちは!木造住宅解体の職長です!
今回は、木造戸建住宅の手壊しについてご紹介します。
時折、お客様からこんなご質問を頂きます。
現地調査でよくある会話
「重機で作業するスペースがないのに、これどうやって解体するの?」
⇒「そうですねぇ。手作業でやるしかないですね・・。」
「手で壊せるの!?」
⇒「出来ますよ(ただし、素手ではなく工具は使う笑)!」
現地調査の際に、こんな会話になることは良くあります。
そもそも何故手壊し作業が発生するのか?
・敷地内に重機を搬入し、作業が出来るスペースがない
・搬入可能な重機サイズでは高い(屋根・2階)部分まで届かない
・隣地建物と近すぎて、重機で解体すると隣地建物を汚損してしまう可能性がある
・道が狭く、そもそも重機が搬入出来ない
主に上記の理由の場合が多いです。
勿論、業者さん・職人によって様々な考え方がありますので、一概には言えませんが。
「道路から重機で解体してしまえば良いじゃん!」
⇒「近隣の方々、通行車両に大いにご迷惑をお掛けすることになります。場合によっては、道路そのものを汚損してしまう可能性もあります。」
たしかに、ひと昔前には、交通誘導員も配置せずに、道路から重機で解体している業者さんをよく見かけました。。。
しかし今の時代、この施工を行ってしまうと、ほぼほぼ直ぐにご近隣様からクレームを頂くことになるでしょう。場合によっては、警察の方からの指導も入る可能性もあります。
こういった理由から、解体業者選びは、費用だけではなく、安心感や信頼感で慎重に選んでほしいのです。
手壊し解体の手順
その1 先行手壊し
重機・車両が入るスペースが無い場合は、入るスペースが出来るまで手壊しを行います。
道路使用許可申請をし、キチンと交通誘導員を配置して区画を行い、搬出車両を現場に横付けさせてもらいます。現場と車両の間(区画内)だけで作業が完結するようにします。
その2 手壊し作業前の養生
手壊し作業を行う場合は、養生については建物の四方全てを囲うことがほとんどです。
作業員が屋根・2階の高所で作業を行う際、万が一滑ってしまう事があっても養生があれば建物との間に落下することはありません。
解体現場で養生するのは、もちろん隣地に解体材が落ちないようにするためでもあるのですが、作業員を守ためでもあるのです。
また、壁の部分を解体する際・解体材の積込みを行う際に、養生が足場代わりになることもあります。
その3 手壊し作業で使用する工具の準備
手壊し時に使用する主な工具は、
バール・インパクトドライバー・レシプロソー・チェーンソー
です。
インパクトドライバーとバールで取り外せるものは、取り外していきます。柱・梁等の大きな部分は、チェーンソー等を使用し切り離すことが多いです。
レシプロソー等の電動工具は、チェーンソーより作動音が小さいですが切るスピードが遅いです。
逆に、チェーンソーは切るスピードは早いですが、作動音が大きいです。
また、一般的に出回っているチェーンソーの刃は【木】を切る事に特化しているので、釘などを切ってしまうと直ぐに切れ味が悪くなってしまいます。
チェーンソーの扱いが上手くて、近隣の住民の方々に配慮が出来る職人さんは、切る箇所を見定めてからエンジンを始動させ切断します。切断作業が終わると直ぐにエンジンを切ります。アイドリング音を響かせながら作業を続けることはありません。
その4 手壊し作業開始
手壊し作業は、基本的に内側に解体した物がくるように進めていきます。養生を行っているとは言え、外側に向かってバーンとやる事はまずありません。
屋根上作業を行う場合は、一部屋根の下地を先行で開口し屋根材を2階部に集積することが多いです。その後下地を解体し、2階の床に落としていきます。
その5 壁倒しと分別解体
当然ですが、壁を倒す際も内側に倒れるように段取りします。壁の外側に荷重が掛かりそうなもの(はね出し等)は予め撤去しておき、倒す予定の部分の柱に根回しを入れます。その後、壁を人力で内側に引っ張り、引き倒します。
根回しの方法は色々あり人によって異なりますが、それを行う理由は同じです。
とにかく内側に倒れるようにすることです。
写真の青印の部分に根回しを入れてあります。
数人で引き倒します。
倒して安全が確保出来たら、壁を分別解体します。
その6 1階部分を重機を入れて解体
また、手作業でもホコリは発生しますので、適宜、散水しながら作業を進めます。ただ、注意しなければならないのは、重機で解体する時のようにバンバン散水してしまうと、水浸しになり、床等が滑りやすくなり危険になる可能性もあります。
2階部分を手壊しした後は、その後は1階部分を重機が入るだけ、手壊しした後に、重機を入れて残りを一気に解体していく流れになります。
こちらの現場は、1階部分もほとんど手で解体してしまいました。
手壊し作業のメリット・デメリット
<メリット>
・重機の振動による近隣からのクレームの心配は減る
・分別解体が徹底できるので不法投棄などの心配は減る
<デメリット>
・費用が高額になる
・工期が長くなる
手壊し作業は人力ですので、機械解体を行う場合よりいくらか高額になるケースが多いです。
また、工期も機械で作業を行うより多くかかる場合が多いです。
一方でメリットは、重機が稼働する時間が少なくなるので、揺れる等でご近隣様へご迷惑をお掛けする日数が少なくてすみます。
解体をする施工側は、機械で解体するよりも解体材を分けて処分できる分別解体が徹底できますので、まだこの業界では起こり得てしまうような不法投棄が発生しにくいと言えます。
※もし、最近の過度な価格競争によってお見積りが他社よりも異常に安い場合、不法投棄の可能性がないこともないので、お客様で事前に解体業者の信頼性をご確認いただいた方がいいかもしれません。
分別解体が出来るほど、積込み・搬出が楽になります。無理して重機を搬入したは良いのですが、現場内がグチャグチャになってしまい、結局片付けに時間がかかってしまったなんてケースもあります。
営業も現場の職長も、安全と近隣配慮を最優先して考え施工方法を選択しております。
「何故手作業?」と思われた際には、お気軽にご質問下さい。
手壊し作業の解体費用の目安
まず、建物の構造によって単価は全く異なりますのであくまで参考なのですが、こちらは弊社で施工した木造住宅解体のお見積りの一部になります。
躯体の手壊し解体 1㎡あたり6,000円
躯体の重機の解体 1㎡あたり4,800円
このように、同じ躯体解体でも手壊し解体と、重機解体では1,200円の単価の差が出ています。
仮に、80㎡の建物を解体することになった場合、躯体全てを手壊し解体すると96,000円が重機解体よりも金額が上乗せされる計算になります。
また、手壊し解体をする現場は、建物の間が狭い立地で産廃ダンプの駐車スペースがなかったりするため、、
コインパーキングに駐車したダンプへ解体材を運搬する処理費用がかかるケース
敷地になんとかダンプを駐車できても、交通誘導員さんの人件費がかかるケース
これらの費用がかかってくることがあります。
通常は、隣地との距離が十分にある場合、前面道路付近の外構などを撤去すれば、産廃ダンプを駐車できるスペースができるので、手壊しで解体した屋根、外壁、内装材、躯体の木屑などの解体材をそのままダンプに乗せることができます。
しかし、産廃ダンプを駐車できなかった場合、近くのコインパーキングまで、解体材を運ぶ必要が出てきてしまいます。
このことにより、解体費用が高くなるのと、工期は伸びてしまう原因にもなります。
もし、なんとか産廃ダンプを駐車でいたとしても、道路側にはみ出してしまうケースが多いです。
この場合、行政への道路使用許可と、交通誘導員さんの設置が必要になり、交通誘導員の人件費が解体費用にプラスされてしまうことになります。
これらの要因から、手壊し解体の解体現場では、どうしても躯体解体以外の作業費用もプラスされることが多いので、総額では、木造の一般的なサイズの重機解体できる現場で比較すると、20~30万円程は高くなってしまうケースが多いと考えた方がいいかと思います。
最近では、通りがかりの解体現場では、外国籍で日本のルールがわからないまま、強引に解体作業を行なっている現場もよく見受けられるようになってきました。
土地のご売却にかかる解体であれば、近隣からの多少のクレームなどは目をつぶっても、費用を抑えて出来るだけ安く解体をするお客様も多いかもしれません。
確かに業界的に職人不足が続いていますし、過度な相見積もりの価格競争が続いているので、しょうがない部分もあるかと思いますが、、、
もし、建物の建て替えで、その土地にこれからも長く住み続ける予定のお客様で、近隣との関係性を大事にされたいというお考えでしたら、弊社までご相談いただけると、安心・安全な解体作業を行わせていただくことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
重機が入らないような狭い建物の解体のイメージができましたでしょうか?
実際には、建物の大きさや量によって大きく金額は変わりますので、解体をご検討のお客様はぜひご連絡なさってください。
「建物を壊して更地になってしまえば、どこに頼んでも同じ。」
そんなことはありません。
費用の比較ばかりで解体業者を選ぶと、こんなところで痛い目に合ったりします。
お客様が本当に信頼できる一社を探してみてくださいね。
【解体業者へ直接発注】解体費用を抑えながら高い施工技術を実現します
解体業界では、価格比較サイトがとても増えました。複数業者の相見積もりで価格を比較して、お客様に選んでもらうシステムです。
確かに、業者同士でお見積りを競い合わせれば、お客様のお支払いする解体費用は安くなると思います。
ただ、あまりに行き過ぎた価格競争によって、現在では本来必要とされる正しい施工計画で解体をなされない現場が増えてきている懸念を感じています。
価格比較サイトのデメリット
・価格比較サイトから解体業者に紹介料マージンが10~20%発生している
・一人親方や数人規模の業者が多いため、施工技術にムラがある場合がある
・解体費用は安くなる一方で価格競争になる分、施工管理が煩雑になる場合がある
総合解体業者へ直接発注のメリット
・価格比較サイトへの紹介マージンがかからない分、正しい施工計画を立てられる
・様々な現場を経験した職人による施工で安心した施工ができる
・鉄骨造やRC造の解体に必要な建機を自社保有するためレンタルのマージンをカット
解体業者へ直接発注で紹介料マージンを抑えながら、、、
騒音・粉塵など近隣への配慮が必要な現場
鉄骨造、RC造など専用の建機とアタッチメントが必要な現場
アスベストがあって規則に沿った対応をすべき現場
これらのご相談は特に、総合解体業者であるリプロなら、お客様も納得のいく解体施工をご提供できるかと思います。
クレーンを使用した建物の解体は、ぜひリプロにご相談いただけると幸いです。
みなさまからのお問合せ、お待ちしております!
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