不法投棄の施主責任は?建物の解体のマニュフェストについて【解体業者目線で解説】
2023年8年21日更新
目次
自宅の解体の産廃が不法投棄されている可能性
不法投棄の問題を心配される方もいらっしゃいませんか?
最近、解体業界では、相見積もりによる過度な価格競争から、競合よりもびっくりするくらい安い見積りを提出する業者さんも中にはいるように見受けられます。
あまりに安い見積りであった場合、、
お客様の建物の解体から発生した解体材が、不法投棄されている可能性があります。
建物の解体では、通常発生した解体材を産廃用のダンプで中間処理施設まで運搬処理を行い、産廃として処理施設で解体材を捨てます。
マニュフェストとは、その産業廃棄物の処理を適正に行うかどうかがわかります。
もし、マニュフェストの発行してくれと言って、発行できないという業者さんだと、、、
解体から発生した産業廃棄物が適性に処理できていない可能性があります。
悪質な業者になると、産業廃棄物をどこかの山に捨ててしまうなんてことも、、、
山に捨てに行かないまでも、解体業者のヤードで産廃のゴミを保管して、雨や風に晒してかさが小さくなったらまとめて最終処分場へ捨てに行くなんてことは普通にあります。
昨今、ゴミ問題が問われていますが、一般の方には直接の影響はそこまでないのかもしれません。
ですが、現在の解体業界では、産廃処理費用は高騰を続け、住宅解体は相見積もりで価格を競い合わされてしまい、各社利益が出せない状況で、適正な産廃処理を行うことができない・しない業者が出てきてしまっているようにも見受けられます。
また、解体業界では現場で働く外国籍の方がたくさん増えてきていて、日本人の倫理観や、日本のゴミのルールを理解しないまま、解体工事をされているようにも思われます。
もし、ご自宅の解体で発生した産廃が適性に処理されたどうか気になられる方は、発注した解体業者へマニュフェストのコピーをもらうなどしてみてください。
発注した業者(産廃の排出業者)は、5年間のマニュフェスト保管義務がございますので、コピーでならばいくらでもお渡しが可能なはずです。
マニュフェストとは
マニフェストとは、産業廃棄物を出した排出事業者が、産業廃棄物の収集運搬、中間処理や最終処理を他の業者に委託していく過程を記録する伝票のことです。
と言っても、ちょっとわかりにくいですよね。。。
要は、マニュフェストとは、
「解体で出たゴミを適性に処理しましたよっていう証明書」
のことです。
なぜこのようなことが必要になったかというと、高度経済成長期から平成のバブル期までに、多くの不法投棄の社会問題が起こってしまったからです。
現在、日本における不法投棄はどのくらいの量があるのかご存知でしょうか?
90年代約40万トンで推移していたのが、2017年現在では、約3.6万トンと10分の1以下に減ってはいるものの、現在でも不法投棄の建築系の廃棄物は約70%を占めています。
産廃排出量全体の建設業の割合は約20%(2016)なので、不法投棄される建築産廃がいかに多いのかがわかります。
建物の解体施工などで産業廃棄物を処理するに当たって、産廃を出す会社、産廃を運搬する会社、産廃を処分する会社と、権利関係が3つも分かれており、もし処分費用がもったいないからと、適性に処理しない会社があった場合、どの会社が悪いことをしているか追いかけることができないからです。
この証明書で、「産業廃棄物を出す業者、運搬する業者は、最終的に処分できるまで、いつ産廃が運ばれたのか、いつ処分されたのか、その足取りを報告してね」と言う意味です。
マニュフェストの流れ
マニュフェストは、A・B1・B2・C1・C2・D・E票の7枚つづりとなっていて、排出事業者、収集運搬事業者、中間処理事業者、がそれぞれ5年間保存をする義務があります。
ここで、一般顧客の皆様に関係するのが、「E票」となります。
E票はご自宅の戸建等の解体を終えてから、最終処分までしっかり終えましたよ、という証明になるので、もし発注業者からマニュフェストのコピーをしてもらうならば、このE票をお客様が解体施工を発注した解体業者からコピーを受け取ってもらってください。
チェックする項目は、収集運搬業者がどの業者でいつ運搬されたのか、中間処理業者がどこでいつ処分されたのか、最終処分の日付などが記載されています。
<実際のマニュフェストが交付される流れ>
産廃の排出
産廃の排出業者がマニュフェスト(A・B1・B2・C1・C2・D・E票の7枚つづり)に必要事項を記入して、収集運搬事業者に発行し、A票を5年間保存します。
この排出業者は、発注者と直接契約を結んだ事業者になりますので、例えば、新築戸建住宅の建て替えのお客様ならば、ハウスメーカーや工務店になる場合もあれば、ホームページなどで探して解体業者に直接依頼した場合は、解体業者となります。
産廃の運搬
産廃を運搬する際に、排出業者が発行したマニュフェストを収集運搬業者が受け取り、中間処理業者に渡します。
そして、中間処理業者は収集運搬業者に7枚一まとまりになったマニュフェストからB1、B2を渡します。
ここでいう収集運搬事業者は、ハウスメーカーや工務店の下請けとなる解体業者になる場合もあれば、ホームページなどで探して解体業者に直接依頼した場合は、マニュフェストを発行した解体業者となります。
通常、建物の解体をしたら、解体から発生した産廃を運ぶ必要があるので、解体業者は産廃の収集運搬も兼ねる場合が多いです。
産廃の中間処理
産廃の中間処理が終わったら、C1票を中間処理場が保管し、C2票を収集運搬業者が保管し、D票を排出業者が保管します。
産廃の最終処分
中間処理業者は、毎日さまざまな現場から運ばれた産廃をまとめて、日本中にある最終処分にまとめて運ばれることになります。この最終処分場に運ばれましたよという証明がE票となります。
この最終処分の確認が取れた中間処分業者は、E票を排出業者に渡します。
解体業者(排出業者)は、最終的にA、B2、D、E票が保管されることになります。
実は、この最終処分施設は、残り10年でゴミでいっぱいになると言われ、問題視されています。
不法投棄があった場合の罰則
もし、建物の解体から発生した解体材を不法投棄されていた場合、どのような罰則があるかの解説していきます。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」という、一般的に呼ばれる「廃棄物処理法」では、次のような違反に対して、個人には「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされ、法人の場合、さらに同時に3億円以下の罰則をもうけています。
廃棄物を不法に投棄、焼却する
無許可で廃棄物処理の営業を行う
無許可業者に廃棄物処理を委託する
ですので、もし不法投棄が発生した場合、解体から発生した産業廃棄物を排出した解体業者に責任が追求されることになります。
施主のお客様に違法行為の責任が追求される場合も
法律上は、基本的には不法投棄を行なった業者に対して罰則が行われ、施主のお客様ご自身に罰則がいくことはありません。
ですが、、
もし産業廃棄物が適正に処理されていないことを知りながら黙っていた場合、施主であるお客様に責任が追求されてしまうこともあります。
もし、解体の見積りが他社よりもあまりに安すくて、なおかつマニュフェストの提出を求めても渋って出したがらない解体業者さんには注意が必要です。
解体なんて壊せば一緒。
とにかく安ければいいと、見積りが一番安かいところに発注してみたら、自宅の解体材が不法投棄されていて、後々大事になってしまうなんてことも。
安心、安全施工をしてくれる業者さんを探し当ててみてください。
そういった意味でも、安心・安全に施工ができているのかは、マニュフェストを発行できるかどうかが一つの基準にもなります。
マニュフェストの作成・保管義務
建物の解体で発行するマニフェストは、5年間の保存義務が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)で定められています。
マニフェストの交付・回付・送付を行った方は、それぞれの伝票の送付を受けた日もしくは送付した日から5年間保存しなければならず、マニフェストA票は交付の日から5年間保存しなければなりません。
マニフェストを交付しなかった
マニフェストに必要事項を記入しなかった
マニフェストに虚偽の記載をした
マニフェストの写しを5年間保存しなかった
このような違反が起こった場合、建設リサイクル法によって「50万円以下の罰金」が科せられます。さらに都道府県知事の措置命令があっても是正を行わなかった場合、「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金」が科せられることになります。
このように、建物の解体で産廃が発生した場合、正しくさんあい処理を行なっていれば、マニュフェストは発行されているはずなのです。
どうすれば適正に産廃処分されたのかを確認できるのか
最近は、建設業界は人手不足が著しく、異国から日本にやってきて働いている解体業者も増えてきました。
なかなか、日本の法律もルールもわかっていないまま、解体施工を行う業者さんも中にはあるのは事実かもしれません。
見積りが他社よりもあまりに安いし、なんか、この業者おかしいな、怪しいなと感じられましたら、、、
見積もりの段階で、「解体後に、マニュフェストのコピーもらえすか?」
と、聞いてみてください。
そこで、「マニュフェストって何?」「わかりません」といった反応があった場合は、要注意です。
この業界はまだまだ古い体質は残っていて、昭和時代には、産廃処理費用を嫌って平気で一般家庭の地中に瓦礫などを埋めてしまっていました。
ゴミの処理なんて当たり前のようにやってくれるはずだ、、、。
令和の現在でとなっても、そうとは全く限りません。
実際、住宅の解体を行うと、住宅の基礎の下から瓦礫が出てきたり、昔の基礎が残っていたり、産廃を地中に埋めてしまう何ことは頻繁に起こっていました。
大切に住まわれたご自宅を違法投棄で、誰かに迷惑をかけるなんてことにならないように、ご自身でよく解体業者を見極めるようになさってくださいね。
<解体工事のカラクリ>
建物の解体を検討される方は、解体工事をどういう基準で選んでいいのか、なかなかわからないのではないでしょうか?
建物を新築する会社と建物を壊す会社を分けて発注する、「分離発注」のメリットをこちらのブログでまとめていますのでご覧になってくださいね♪
まとめ
いかがでしょうか?
ゴミの不法投棄なんてニュースで聞いたことはあるけど、解体する時になって初めてご自身の問題として、目の当たりにする可能性のある問題です。
お見積りを頼んでいる解体業者さんがしっかりとアスベスト処理をおこなってくれる業者なのか、確認してから発注なさってくださいね。
「建物を壊して更地になってしまえば、どこに頼んでも同じ。」
そんなことはありません。
お客様が本当に信頼できる一社を探してみてくださいね。
【解体業者へ直接発注】解体費用を抑えながら高い施工技術を実現します
解体業界では、価格比較サイトがとても増えました。複数業者の相見積もりで価格を比較して、お客様に選んでもらうシステムです。
確かに、業者同士でお見積りを競い合わせれば、お客様のお支払いする解体費用は安くなると思います。
ただ、あまりに行き過ぎた価格競争によって、現在では本来必要とされる正しい施工計画で解体をなされない現場が増えてきている懸念を感じています。
価格比較サイトのデメリット
・価格比較サイトから解体業者に紹介料マージンが10~20%発生している
・一人親方や数人規模の業者が多いため、施工技術にムラがある場合がある
・解体費用は安くなる一方で価格競争になる分、施工管理が煩雑になる場合がある
総合解体業者へ直接発注のメリット
・価格比較サイトへの紹介マージンがかからない分、正しい施工計画を立てられる
・様々な現場を経験した職人による施工で安心した施工ができる
・鉄骨造やRC造の解体用建機を自社保有するためレンタルのマージンをカット
解体業者へ直接発注で紹介料マージンを抑えながら、、、
騒音・粉塵など近隣への配慮が必要な現場
鉄骨造、RC造など専用の建機とアタッチメントが必要な現場
アスベストがあって規則に沿った対応をすべき現場
これらのご相談は特に、総合解体業者であるリプロなら、お客様も納得のいく解体施工をご提供できるかと思います。
建物の解体は、ぜひリプロにご相談いただけると幸いです。
みなさまからのお問合せ、お待ちしております!
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